8本の手足がある生き物のシルエットは、
海に生息するあの軟体動物になった。
蛸は日本の食生活に根付いているが、
ユダヤ教やイスラム教では
軟体動物を食べることは禁止されていて、
中東では食卓に上がることはないという。
ミニ蛸は小さくて可愛らしいが、
深海に棲む蛸には未だ人間が遭遇したことがないくらい
大きなものも存在すると考えられている。
軟体のほとんどの部分は筋肉で構成されていて、
非常に強い力を持っているため、
大型の蛸に締め付けられたら人間はひとたまりもないだろう。
よく蛸足という言い方をされるが、
正確には8本の肢体は触腕という腕であり、
今までに発見された中では最大で96本の触腕を持つ蛸も存在し、
意外とその本数は限定できない部分もあるようだ。
触腕の上部にある蛸の頭と思われがちな部分は胴体で、
烏賊と同じ頭足類と呼ばれる部類に属すという。
見れば見るほど複雑怪奇な形状をしている蛸だが、
刺身になってしまうと原型を留めていない。
海に潜む怪物を捉えて食していると考えると、
人間の捕食への執念は本当にすごいと思う。
蛸は古来から悪魔や怪物として恐れられることも多く、
その反動からか、蔑称として扱われることもしばしばある。
頭髪を剃りあげた坊主頭が、蛸の胴と似ていることから
仏教における入道者に対する蔑称として蛸入道という言葉や、
大相撲の隠語で思い上がって周囲の言うことを聞かなくなる力士を
蛸になるということもあるようだ。
いずれにしても我々の認識の中で、
人間とかけ離れた特異な存在に位置付けられていることは間違いない。
2015.08.23
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