規則的に続く円弧をいくつか重ねると、
魚鱗や、和柄の波の文様のように見えてきた。
和柄の紋様に、
鱗をモチーフにした鱗紋様と、
波をモチーフにした青海波紋様というものがある。
個人的には、青海波紋様の円弧を
モチーフにした紋様の方が鱗を模した紋様に見える。
対する鱗紋様は、三角形を規則的に配した紋様で、
実際の鱗の認識のとは距離があると思うのは
僕だけだろうか?図像の記号化は、
様々な解釈やプロセスを経て行われるため、
元のモチーフの印象に近いことが必ずしも正解ではない。
むしろ、解釈をどう定義づけるかの方に
力点を置かれることの方が多い。
同じ和柄の紋様に「かまわぬ」紋様がある。
この紋様はまさに絵文字的な解釈の記号であり、
かま=道具の鎌の図像、わ=輪っかの図像、
ぬ=平仮名のぬ、で表される非常にユニークな紋様である。
この文様は、歌舞伎役者の7代目市川団十郎が愛用したことで
知られているが、元々この記号には江戸時代の
町奴という町人集団の、突っ張った意気込みが込められていたという。
何をやっても構わないという、すこしヤクザ気質な
匂いを背景に持っている記号なのだろう。
具象と抽象、言語と記号を自由に行き来する
日本語ならではの記号文化が、
改めて面白いと感じられる例ではないか。
2015.08.27
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