WAGOMU-このブログについて-


WAGOMUというのは、「和」と「和む(なごむ)」から創った造語に、「輪ゴム」という括る対象によってその形状を柔軟に変化させることのできる図像の記号性を与えたものです。このブログは、2009年から「瞑想」というキーワードと向き合いながら広告会社でデザインをしている自分から生まれた造形に言語的アプローチで再解釈を与えることを目的に2015年の年頭にはじめました。
実家が、高野山真言宗という密教系の宗派のお寺であることから、美術大学の卒業製作のテーマとして「阿字観」という瞑想に出会いました。密教では阿字(大日如来を表すサンスクリット文字)と対峙しながら瞑想を行います。他の瞑想のスタイルにおいても、何か1つの対象や動作に意識を集中することで、瞑想を体得するものが多いのです。インターネット社会になり、SNSのタイムラインのようにどんどん流れていく情報が増え、多次元的に脳に取り込む情報の量が日々増えていくようになって久しい現代社会において、グラフィックが「瞑想」と同じような効果を人間の脳に与えることができるのではないか。それが私のコンセプトです。
しかし、このテーマを持ちながらデザインをする自分自身が日々の生活や仕事の中での大量の雑多な情報のインプットによって、1つの図像から受け取るインスピレーションの感度や、表現力が劣化しているのではないかという懸念が生まれました。そこで、図像に対しての感度を鈍らせないために、画材を制限したドローイングと、そこから見出した自分自身の思考の軌跡をブログという形で残すことにしました。ブログを書きついでに瞑想しようというわけです。日によっては更新できない日もあるでしょうが、基本的に1日1投稿を目標に続けていきたいと思っています。2015.01.03

2015/04/18

籠目紋 / COEXIST



三角形の辺の途中から、
対になる方向へ腕が伸びた図形が描けた。
点の頂点を結ぶように逆さまの三角形を配すと、
六芒星のシルエットが浮かび上がった。

六芒星の図像は、日本の籠目文様と同じ形をしていて、
イスラエルの国旗に使用されるユダヤの人々を象徴するシンボルである。
しばしば、六芒星と籠目文様の図像としての共通性から
日本とユダヤの古代からの繋がりがあったと考えられることがある。
なぜそう言われるようになったかを少し調べてみると、
どうやら有名な民謡「カゴメの歌」にヒントがあるようだ。
カゴメの歌の歌詞の音の中には、
ヘブライ語として理解できる部分が多くあるという。
そもそも、カゴメという音も「囲め」という意味の
ヘブライ語であり、「カゴメカゴメ・・・」という歌詞には、
何か神聖な大切なものを運ぶ際などに、
「誰が守るのか」という意味が込められているそうだ。
守るために囲むというという方が誤解がないかもしれない。
昔から小学校の授業などで使用されてきた民謡の原型が、
ヘブライ語から出来上がっていた可能性があるというのは、
非常に興味深い話である。
そのことに関してよくまとまっているサイトがあったので、
リンクを貼っておく。

六芒星のように、ダビデの星などと呼ばれ、
国旗のデザインになるほどの強いシンボルは
国や地域の境を越えてもなお、何か別の意味をもって
その存在を輝かせることができるのだろう。
2015.04.18




2015/04/17

蟻地獄博士 / DR.DOODLEBUG



古代の壁画に描かれているような
動物を簡略化したような図像が描けた。
なんだかよく分からないものを描いてしまったと思っていたら、
子供の頃によく砂を掘り返しては捕まえていた、
ウスバカゲロウの幼虫の蟻地獄に見えてきた。

子供の頃は無邪気に捕まえて遊んでいたこの蟻地獄が、
かなり恐ろしい捕食の仕方で獲物を食い散らしていたとは
僕は当時知らなかった。
擂鉢状の巣の底で砂に潜って獲物を待っているまではいい。
そこに獲物が落ちてくると、消化液を注入して
体組織を分解した上で口器から吸い取ってしまうというのだ。
そういえば、蟻地獄の巣の周りには
小さな虫の抜け殻のようなものがよく落ちていた。
あれが生気を吸い取られた獲物のミイラだったと思うと恐ろしい。
蟻地獄の毒はフグ毒の130倍というのだから、
相手が人間だと思うと驚異のエイリアンである。
また、蟻地獄は肛門を閉ざしていて、蛹になるまで一度も排泄を
しないとずうっと考えられてたらしい。
しかし、2010年に千葉県の小学生が、
蟻地獄のお尻から黄色い液体が出ることを発見し、
日本昆虫協会に報告したことから、それまでの学説が覆り、
この研究に対して協会から夏休み昆虫研究大賞が与えられたそうだ。
この小学生はまさに蟻地獄博士である。

最近は蟻地獄の巣が身近にない環境で生活をしているが、
好奇心が旺盛な子供の頃に反応するものには、
きっと何かがあるのだろう。
忘れた頃に、子供の頃好きだったものを思い返して
深堀りしてみるのもいいものだと思った。
2015.04.17

2015/04/16

五重塔 / FIVE-STORY PAGODA



上に向かって五重に重なる線は、
日本の仏教寺院では見慣れた五重塔の
屋根にも見えてきたので、中心に建物の芯を建てた。

五重塔にまつわる話は非常に面白い。
知っている方も多いと思うが、
仏教の開祖であるお釈迦様の遺骨(仏舎利)はインドの8つの部族に渡され、
それぞれがストゥーパと言われる塔を建てて安置したと言われ、
その塔が、この五重塔の原型になったとされている。
五重の意味は、仏教でいう「五大」を表し、
この世を形作る5つの基礎を意味しているという。
下から順番に、地、水、火、風、空を意味しているのだが、
そう思って見ていると、また違う見え方をしてくるのかもしれない。
また、それぞれに図形的なシンボルも与えられていて、
地は正方形、水は円、火は三角形、風は月、空は宝珠の図形である。
お墓などで目にする卒塔婆(そとば)は、
このストゥーパから来ていて、卒塔婆の頭のところの形は
この五大を表す形になっているのだ。
もう1つ驚くのは、この五重塔が
釈迦の入滅後、56億7000万年後に世界の救済をするために
現れるとされる弥勒菩薩が現れるまでを5つの時代に分けた
未来予想図になっているということだ。
よく聞く末法思想という考え方は、ここから来ている。

神社仏閣をはじめとする日本の宗教建築には、
我々の想像をはるかに超えた完成されたストーリーが込められている。
れをシンボルの観点から少しづつ紐解いていくことは、
シンプルだが、だいぶ興味深いことだと思う。
2015.04.16





2015/04/15

桃太郎 / SON OF A PEACH





向こうから流れてくるかのような奥行きを感じる、
3本の線が描けた。
川の流れのようにも見えるその線の間に
割れ目のある桃色の図形を配すると、
日本の昔話で有名な桃太郎の冒頭のシーンを思い出した。

最も記憶にある話としては、
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行くと、
川上からどんぶらこと桃が流れてきて、
家に持って帰るとそこから桃太郎が生まれるというものだ。
日本の昔話というのは、様々に再編されて現代に
語り継がれてることがほとんどである。
桃太郎に関しても、少し調べただけでも
所謂桃太郎のイメージを覆されるような説がたくさんある。
桃は古くは不老不死の霊薬とされていたことや、
桃の実の形状や質感が命の源である女性器に似ていることから、
邪悪な鬼を退治するイメージになったという説もある。
また、桃太郎で語られる桃が女性そのものであったという
説があるのには驚いた。
桃は、若い娘のお尻の象徴であり、
子供ができずに悩んでいたおばあさんは、若い娘を
拾ってきて、その娘におじいさんの子供を孕ませたという。
そして、おばあさんはその娘から子供を取り上げたというのだ。
それが、桃を割るということになったというのだ。
かなりぶっ飛んだ話ではあるが、なるほどとも思える。

きっと桃の甘くて生命のみずみずしさを感じるイメージは、
その物質的な価値以上に物語に発展するほどの力を
持っていたのだろう。
最近ではCMのモチーフにもなる桃太郎だが、
今後はどういった形で語り継がれていくのだろう。
2015.04.15



2015/04/14

海獣 / MARINE MAMMALS



しなやかなカーブに、
ヒレのような突起がついているシルエットは、
海の中を泳ぐ哺乳類の動物に見えてきた。

海の中で生きる哺乳類の総称は、別名海獣という。
その種目に分類される数は思いのほか多く、
クジラやイルカなどの常に海の中にいるものから、
ホッキョクグマなどの、陸にいるイメージもあるものまで
総称して海獣と呼ばれるようだ。
彼らは、陸上で生活する我々が感じ取れない地球の鼓動を感じていて、
身を以て我々に何かを伝えてくれることがある。
先日イルカが大量に座礁したニュースとともに、
大地震の前兆であるという説が囃し立てられた。
イルカは海の中でエコロケーションという方法で仲間同士の
コミュニケーションを取る。
岩盤のズレによって発生する強い電磁気によって、
彼らのその機能が正確性を失い、座礁したという説だ。
信憑性もありそうな説で、ひとつ可能性として受け止めたい。
その一方で、2014年から2019年の間に
アメリカ海軍が海中で行う訓練や実験の影響で
方向感覚を失う等の異常行動をきたす個体は
2000万頭にのぼるという試算が発表されているという。
耳を疑う数だが、それだけの被害を出すことを
正面から押し通そうとしているアメリカは、やはり恐ろしい。

彼らは間違いなく被害者である。
我々が感じ取れないものを感じ取れるだけで、
多くの代償を伴う彼らに同情とともに感謝したい。
2015.04.14





2015/04/13

自己緩和 / SELF EASING



細かい線の集積が、何かの影響で
グッと変形したようなフォルム。
何が影響したかは分からないが、
そこに角のある正方形を当ててみた。

最初に見たときは、この形の歪みは
あまり心地よく思えなかったのだが、
別の形と組み合わさることで、
この図形の柔軟性を感じることができた。
何か角のある対象からの攻撃を、
その柔軟な身構えで緩和させているようにも見えてきた。
我々は日々様々な事象と遭遇するわけだが、
その時の身のこなしだけでなく、
普段からの身構えや心構えで緩和させることができるのだろう。
ガチガチに固まっていると、一気に砕けてしまうだろうし、
緊張して張り詰めていると、プツンと切れてしまう。
液体のようでは、対象を受け止められないだろう。
そう考えると常に柔らかくいるということは、
とても大切なのではないかと思えてくる。
いつ来るかわからない自然災害があるとすると、
その予測できない災害の内容を受けて、
いかに柔軟に自分たちの生活スタイルや価値観を変化させて
立ち直っていくかということでもある。
それができるということは、自分たちへのダメージを
最小限に軽減することにもなるのかもしれない。

これは、一個人の世界の話に留めるのではなく、
自然と対峙する我々全体のスタンスもそうであると
いいのかもしれないと思う。
2015.04.13





2015/04/12

内外隧道 / IN OUT TUNNEL



円環状の図形を貫くように
波打った曲線が描けた。
曲線は、この円環をくぐり抜けているように見えたので、
前後の位置関係が明快になるようにもう1つの円を重ねてみた。

円環は、2次元的にとらえると
その内側と外側を円形に仕切っている図形である。
では3次元でとらえるとどうだろう。
そこには円環の手前と奥の空間が生まれてくる。
3次元的とらえると、トンネルを越えることで
2次元では画一的に仕切られていた
内と外を自由に行き来できるようになるのである。
我々が思う内と外とは、
自分の体内と体外、家の内と外、自分と他人、家族と他人、
仲間と他人、うち会社とよその会社、日本人と外国人、地球人と宇宙人、
といったように無限に拡張していくことができる。
もともと日本人は差別意識が強く、
自分の属する集団意識が強いと言われているらしいが、
逆に言うと、その集団意識を小さい単位ではなく、
大きい単位で持つこともできるかもしれない。
普段の社会活動のなかでも、自由に内外トンネルを
出たり入ったりできるスタンスの方が、
様々な可能性が広がるのではないかと思う。

内外トンネルをあんまり頻繁にくぐりすぎると、
会社からは帰属意識のないやつとか、仲間から連れないやつなどと
思われてしまうこともあるかもしれないが、
個人の心持ちとしてはひょっとすると強くあれるのかもしれない。
人類みな兄弟みたいなことを言いすぎても、
博愛主義者かと揶揄されたりすることもあるので、
注意したほうがいいかもしれない
2015.04.12