細長くすーっと伸びる形は、
我々がよく食用で口にするえのきを連想させる。
いまでは食用で年中栽培されているため、
スーパーなどでいつでも買えるえのきだが、
別名、雪下(ゆきのした)といい、晩秋から春にかけて
枯れ木や切り株に寄生する菌類である。
僕も知らなかったのだが、食用の白いえのきは
日の光を当てずに育てられた色素の抜けたものらしい。
天然のえのきはこんな姿ではなく、
茶色い大きな傘をしたいわゆるキノコの姿をしている。
菌類というのは非常に不思議で、
その名の通り別の有機物に寄生して
基本的にそこから摂取する栄養に依存して成長する固着性のものである。
光合成などはせず、成長のための栄養の摂取を完全に外部依存をしている。
会社でいうと、自社内では生産せずに外部委託の構造なので
効率主義なのかもしれない。それなのに、対価を支払わないという
恐ろしくブラックな企業である。
冗談はさておき、菌類と人間の関係は非常にデリケートな
バランスで保たれていて、少しそのバランスが崩れると
菌類の力が勝って我々の身体に変調をきたすことがある。
息を潜めながら、細々と寄生した対象から栄養を頂戴している。
頼っているというほどではないが、
相手がいないと生きていけないという感じだろうか。
ただ、強かに確かに生き延びることへの執着は持っている。
その生き様は、見方によっては恐れるにに価するものだ。
2015.02.07