横棒の片側にヴォリュームをつけると、
歯ブラシのようなシルエットになったので、
甘い味のする歯磨き粉を乗せてみた。
歯磨き粉という呼び名は、
以前に粉末の研磨剤で歯を磨いていた時代の名残で、
正確には歯磨材(しまざい)という呼び名が正しいそうだ。
子供の頃、自分が親に使わせてもらえる歯磨き粉が
白色だったのに対し、親戚のおじさんが使っているものが
3色カラーだったのをとても羨ましく思ったことがある。
味はミント系でさほど変わらないはずだが、
その見た目がどうにもデザート感覚があり興味をそそられた。
見かねた親が僕に与えたのは、歯医者推奨の子供用の
葡萄味の歯磨き粉であった。
その味はまさに葡萄で、泡立ちも悪く甘ったるくて
歯が磨けている気がしなかったのを思い出した。
歯磨材の歴史は国によって様々で、今でこそ
一般的なペースト状の歯磨き粉に統一されてきたのは
1900年代に入ってからだったようだ。
それ以前には、最古のもので紀元前1500年代に
エジプトで紙の原料でもあったパピルスが歯磨材として
使われていたという説もあるという。
日本での歯磨の思想は、6世紀の仏教伝来とともに
伝わってきたという説もある。
お釈迦様も歯を磨くことで5つの功徳があると説くなど、
歯を磨くことには単なる衛生管理以上の意味を持たせることで、
その重要性を人々に周知させていたのかもしれない。
歯磨きのような日常の行為は、
習慣にしてしまうのがいちばんいい。
きっとその時に、いろんな味や色の歯磨き粉が活躍してくれるだろう。
さて、今日も忘れずに歯を磨かなくては。
2015.07.18