石鹸のようなシルエットを描くと、
卓上でいつも触っているものに見えてきたので、
尻尾を生やすとパソコンのマウスになった。
マウスは考えてみればメタファーの対象が
そのまま名前になった数少ない例かもしれない。
その形状や大きさ、動きが鼠に似ていることから
全く違う機能を持った工業製品にそのままの
名称をつけてしまったのだから驚きである。
今では皆が一家に1匹は卓上鼠を飼っている時代だ。
鼠という動物は、昔から人間との関わりの中で
忌み嫌われてきた側面もある。
時には、実験動物として扱われるなど、
非常に立場の弱い存在として人間と共存してきている。
アリストテレスの「博物誌」の中で、
農作物に害を与えるだけでなく、塩を舐めているだけで
受胎すると書かれていたほど、異常なまでの繁殖力を
持つことが、その要因の1つだったのかもしれない。
彼らが新しい活路を見出したのは20世紀に入ってからで、
イヌやネコと並んで、アニメやゲームなどのキャラクターとして
愛される存在になることで、その地位を徐々に上げてきた。
世界的に愛されるウォルトディズニーのミッキーマウスが
その最たるものである。
そして現代、その名前をそのまま受け継ぎつつ、
パソコンがある家庭で小さくも確実にその存在意義を
勝ち取りつつあるのかもしれない。
やはり、彼らの繁殖力は我々の警戒心を遥かに上まっている。
同じ染色体を持った生命体以外にまで遺伝子を送り込み
繁殖を広げていく鼠の生き様には脱帽すると同時に、
彼らの種族にもっと愛を持って接するべきだとも思えてくる。
2015.07.14
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