白いねじれのある線に、
同じく黒い線を絡めると、
何か大きなものが反っている姿に見えてきた。
方向性をつけるために尾ひれを描いてみてはっきりした。
白と黒の巨体を反らせていたのは、
我々と同じ哺乳類の仲間、鯨である。
芸達者な鯨に敬意を表して、鯨芸と名付けた。
鯨のこの大きなジャンプはブリーチングと呼ばれ、
ザトウクジラなどが行う習性であるが、
これが何のために行われているかは定かでないらしい。
寄生虫を落とすためとか、シャチを威嚇しているとか、
単に楽しんでいるという説もある。
いずれにしてもこの鯨の芸のエンターテイメント性によって
我々が楽しませてもらっていることは間違いない。
また、クジラは歌も歌うという。
特にザトウクジラの歌は変わっていて、
短い曲を何回にも分けて歌い、最長で20時間位歌い続けるそうだ。
求愛行為が目的ということであれば納得もできるが、
ザトウクジラに関しては特に理由なく
そのロングコンサートを無料で行っているそうだ。
本来、鯨が違う目的でしているかもしれないその習性を
人間は自らの想像力を働かせて楽しもうとする。
人間の想像力を持ってすれは、それはサーカスとオーケストラを同時に行う
類稀なるエンターテイメントになるだろう。
2015.01.17