上に向かって五重に重なる線は、
日本の仏教寺院では見慣れた五重塔の
屋根にも見えてきたので、中心に建物の芯を建てた。
五重塔にまつわる話は非常に面白い。
知っている方も多いと思うが、
仏教の開祖であるお釈迦様の遺骨(仏舎利)はインドの8つの部族に渡され、
それぞれがストゥーパと言われる塔を建てて安置したと言われ、
その塔が、この五重塔の原型になったとされている。
五重の意味は、仏教でいう「五大」を表し、
この世を形作る5つの基礎を意味しているという。
下から順番に、地、水、火、風、空を意味しているのだが、
そう思って見ていると、また違う見え方をしてくるのかもしれない。
また、それぞれに図形的なシンボルも与えられていて、
地は正方形、水は円、火は三角形、風は月、空は宝珠の図形である。
お墓などで目にする卒塔婆(そとば)は、
このストゥーパから来ていて、卒塔婆の頭のところの形は
この五大を表す形になっているのだ。
もう1つ驚くのは、この五重塔が
釈迦の入滅後、56億7000万年後に世界の救済をするために
現れるとされる弥勒菩薩が現れるまでを5つの時代に分けた
未来予想図になっているということだ。
よく聞く末法思想という考え方は、ここから来ている。
神社仏閣をはじめとする日本の宗教建築には、
我々の想像をはるかに超えた完成されたストーリーが込められている。
それをシンボルの観点から少しづつ紐解いていくことは、
シンプルだが、だいぶ興味深いことだと思う。
2015.04.16
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