大きなうねりのある線を描くと、
漢字の風の風冠のような形に見え、
同時に風になびく女性の髪のようにも見えてきた。
髪は形状に縛りのない記号性を持っている。
人間が様々なヘアースタイルを楽しむようになってからは、
頭髪は頭の上に乗っている装飾的要素も含むようになった。
毛根から生える身体の一部のような存在が塊となり、
風などの外的要因の影響を受けることで
自由な形状に変化することができる。
風と髪に本来何か共通項はなかったと思われるが、
風という漢字の上にのっている風冠という部首は、
まさに風の髪のようにも思えてきた。
その記号においては、風の形がそのまま
ヘアースタイルになっているのだ。髪風とでも呼ぼうと思う。
同じ音で発音される言葉に神風という神道用語がある。
神風は、日本書紀において伊勢にかかる枕詞としても使われている。
また、鎌倉時代に2度に渡り元が日本に攻め入った際に
元軍の勢力に大打撃を与えた暴風雨のことも指す。
どこかいたずらに運命を左右するその力には、
計り知れない力を感じてしまう。
形と言語の記号の偶然の一致によってもたらされる偶然は、
まさに神風のように我々の脳を吹き荒らしていく。
見立てや比喩といった表現の面白みは、
そんなところにあるのかもしれない。
2015.08.24
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