四角の中に横線を引いていたら、
きれいに折りたたまれた白い洗濯物のように見えてきた。
洗濯物は、洗って乾燥機にかけた直後はぐしゃぐしゃである。
外できれいに干したとしても、そのまま収納するわけにはいかない。
それを見違えるほどきれいに畳み上げるのは人間の手だ。
きれいに畳まれた洗濯物を見ると、
心まで洗われた気持ちになるのは僕だけであろうか。
そこには、畳むという丁寧な手仕事を想起させる
佇まいがあるからかもしれない。
例えば、食器洗い機というテクノロジーの進化は
我々の家事や飲食店の作業効率を劇的に上げた。
では洗濯機に関してはどうだろう。
一般家庭に普及している全自動洗濯機ですら、
まだ畳むという行為までは全自動化されていないのが現状だ。
技術的に難しいということはさておき、
そこには手仕事が介在する無言の了解があるのかもしれない。
最近、セブンドリーマーズというベンチャー起業が、
大手メーカーと組んで全自動洗濯畳み機を開発したという記事があった。
すばらしい技術革新とは感じつつも、
やはり洗濯とは切り離されたものになっている。
食器と洗濯物の違いは何なのか。
そこには、固いもの、柔らかいものという素材の違いとともに、
人間が直接身に付けるかどうかの違いがあり、
ファブリックというものの本質が見え隠れしている。
僕は洗濯物を畳むのが苦手である。
これからも、そっと洗濯物を畳んでくれるやさしい手に
最大限の敬意を払うことは間違いないだろう。
2015.09.03
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