太い芯の先に、細かい穂が束になったシルエットを描くと、
茶道で抹茶を点てる時に使用する茶筅のようになった。
茶筅は、湯を加えた抹茶を茶碗の中でかき回して
均一に分散させるための道具である。
点てたばかりの抹茶は泡立っていることが多いため、
茶筅を使って泡立てていると勘違いされることもあるが、
決して泡立てるための道具ではない。
茶筅の原材料には竹が使用され、
穂先の太さや本数によって格があり、
明治維新以前は、80本以上の穂数は大名以上の貴人用、
120本は将軍用とされていたという。
一般的には濃茶を練る際には穂数の少ないものを使い、
薄茶を点てる場合には穂数が多いものが使いやすいとされるという。
そして、数ある茶道具のなかでも代替の利かないもので、
職人の技術と精魂を込めて作られる工芸品でもあるが、
その用途から必然的に消耗品となり、
本来ならば1回使い捨て、大事に使っても数十回で
穂先が折れてしまうもののようだ。
そのため、使い終わった茶筅を焚き上げて
感謝の意を示す、茶筅供養と呼ばれる儀式があり、
それを行うための茶筅塚というものが
全国にたくさん存在するというのだ。
茶の湯にそこまで精通していない人は
知りようのないことかもしれないが、
道具への敬意や感謝が目に見える形で残るこの風習は、
非常に象徴的で心洗われるものだと思う。
2015.08.09
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