先端が二股に分かれる小判形を描くと、
和服を着る際の足元の下着に使用する
足袋のようなシルエットになった。
足袋は、文字通り足を包む袋のような形状をした
下履きであるが、その名前や形状の由来には諸説あるようだ。
もともと中国から伝わった襪(しとうず)という
指先が分かれていないものが原型だったという説や、
山家と呼ばれる山賊が履いていた動物の毛皮から
作られた毛足袋の形状が原型になったという説もあるようだ。
名称に関しては、2つ並べると4つの鼻に見えることから、
多鼻と呼ぶようになりその読みが残ったとか、
旅に履いていく旅沓の読みのたびが残ったとも言われている。
しかし、その形状が持つカタチの理由は
どうも別のような気がする。
それは、日本独自の履き物文化である、
雪駄、草履、下駄といった親指と人さし指の間に
鼻緒を引っ掛けて履く履き物との必然的な
出会いによるものだろう。
それは、鼻緒の当て字に鼻という文字が使われている
ことからも伺えるのではないか。
まさに、足袋を並べた形が鼻に見え、
その形の間に引っ掛けるものがゆえに、
鼻緒と表記するようになったと考えるのが自然である。
多鼻と鼻緒の名前に関係性があるかどうかは
定かではないが、その名称の佇まいには
形から発展した漢字が当てられていることが、
日本の固有名詞の際立って面白いところなのかもしれない。
2015.07.19
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