WAGOMU-このブログについて-


WAGOMUというのは、「和」と「和む(なごむ)」から創った造語に、「輪ゴム」という括る対象によってその形状を柔軟に変化させることのできる図像の記号性を与えたものです。このブログは、2009年から「瞑想」というキーワードと向き合いながら広告会社でデザインをしている自分から生まれた造形に言語的アプローチで再解釈を与えることを目的に2015年の年頭にはじめました。
実家が、高野山真言宗という密教系の宗派のお寺であることから、美術大学の卒業製作のテーマとして「阿字観」という瞑想に出会いました。密教では阿字(大日如来を表すサンスクリット文字)と対峙しながら瞑想を行います。他の瞑想のスタイルにおいても、何か1つの対象や動作に意識を集中することで、瞑想を体得するものが多いのです。インターネット社会になり、SNSのタイムラインのようにどんどん流れていく情報が増え、多次元的に脳に取り込む情報の量が日々増えていくようになって久しい現代社会において、グラフィックが「瞑想」と同じような効果を人間の脳に与えることができるのではないか。それが私のコンセプトです。
しかし、このテーマを持ちながらデザインをする自分自身が日々の生活や仕事の中での大量の雑多な情報のインプットによって、1つの図像から受け取るインスピレーションの感度や、表現力が劣化しているのではないかという懸念が生まれました。そこで、図像に対しての感度を鈍らせないために、画材を制限したドローイングと、そこから見出した自分自身の思考の軌跡をブログという形で残すことにしました。ブログを書きついでに瞑想しようというわけです。日によっては更新できない日もあるでしょうが、基本的に1日1投稿を目標に続けていきたいと思っています。2015.01.03

2015/06/19

白衣装 / WHITE WEAR



楕円形の上に高さのある四角を描くと、
ハットの中でも燕尾服などの正装時に
着用されることの多いシルクハットのような形になった。
大抵黒が多いシルクハットでだが、これは白い。

白の帽子というのは日常的に着こなすのがなかなか難しいと
思われてか、黒いものに比べて目にする機会が少ない。
白馬の王子様や、怪盗キッド(名探偵コナン出演)の格好は、
白のシルクハットにマントに正装という、
ある意味この上なく理想化されたものである。
帽子なしであれば、結婚式で新郎が着ていることも時々ある。
白い衣装というのは、どこか特別な扱いをされることが何故か多い。
日本でも、白装束と呼ばれる衣装があり、
神事において神主や巫女、修験者が身につける全身白ずくめの
浴衣のような衣装のことである。
また、死者に着せる衣装は基本的に白であり、
死装束、経帷子と呼ばれるものがある。
今でこそ黒が主流になった喪服も、日本では古くは
白喪服が主流だったと言われているようだ。
白は穢れのない色として、未亡人が身につけた場合に
再婚はしない意思を表明するものだという。
かつての日本の女性は、婚礼で着用した白無垢を
ずっと保管しておいて、愛する連れ合いがこの世を去った際に
袖を詰めてそのまま喪服にしたというのには驚かされた。
現在の黒い喪服が主流になったきっかけには、
どうやら少し黒い歴史が影響しているようだ。

理想化された白、神格化された白、意思表明としての白
といったように、日本人は白という色に、色の代わりに
様々な意味付けを施して身に着けてきたのだろう。
白という色のもつ記号は、無であり無限と言えるのかもしれない。
そう考えると、白い正装を着こなすことは、
そうそう簡単ではない気もしてくる。
2015.06.19






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