うねうねした2本の線を、左右対称に配すると
向かい合う人の横顔のように見え、
有名なルビンの壺の構図に見えてきたので、目を入れてみた。
ルビンの壺は、
人の感覚や知覚、記憶といった情報処理過程を
解明する認知心理学的な分野で、
図と地の分化の説に説得力を与えた図像である。
ある図の周囲を地と考え、その2つを分けて認識して
はじめて図形を認識でき、
一方が図として認識されると、一方は
地としてしか認識されなくなるという。
我々の視覚の情報処理過程に自然に備わった
認知の法則を、ある図形をサンプルにして
見事に解明したのである。
この現象は、ものの輪郭をある境界として
はっきりと認識できた場合にのみ起きる。
逆に言えば、境界線のない曖昧な世界においては
起こらない、非常にグラフィック的世界の話である。
図形が強く意識に働きかける影響を利用し、
認知のメカニズムを逆算して表現する場合
やはりグラフィック表現というのは
最も有効に働くのだろう。
2015.06.02
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