柔らかい滲みは、柔らかく火花を散らし
儚く燃え尽き落ちていく線香花火の
先端のようだった。
線香花火は日本の伝統的なおもちゃ花火で、
その名前は、江戸時代に香炉に立てて遊んでいた
時期があったことからついたようだ。
東日本と西日本でそのスタイルには違いがあり、
東日本は主に「長手」、西日本は「すぼ手」という
形が主流であるという。
すぼ手は、選考のように立てられるよなもので、
長手は和紙を丸めて作ったもので柔らかく、
基本が手で持って鑑賞するものである。
その線香花火の儚い火の一生は、花火の表情によって
いくつかの段階に分けられているのだ。
蕾、牡丹、松葉、柳、散り菊
といった名前がついていて、
その一瞬の出来事をさも人の一生のようにさえ、
感じさせてくれる。
非常に日本人的な感覚を詰め込んだ玩具であるとともに、
その魅力を再発見することになった。
何かを見るときに、何も考えずにそのものの
形や色をぼんやりと眺めていると、思いもしなかったところに
興味が湧いてくることがある。シンボリックな対象は、
そんなことを改めて認識させてくれる力もあるのかもしれない。
2015.05.19
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