丸くてモコモコした形を描いたら、
畑でよく見かける葱の頭につくボール状の花、
葱坊主に見えてきた。
葱坊主は、小さな花が大量に集合したもので、
食用にもなるようだ。
葱は、大乗仏教や道教における禁葷食という精進料理に近い菜食の中で、
五葷という食べてはならない植物のひとつだという。
五葷とは、ネギ、ラッキョウ、タマネギ、ニラ、ニンニクを指し、
臭いのきつい植物のことで、
葷という漢字が、訓読みで「なまぐさ」と読むことから、
現在の中国語では素の対義語とされ、動物性の食べ物を指す
言葉に変わっているらしい。
禅宗などの寺院に行くと、不許葷酒入山門と書かれていることがあり、
生臭い野菜や酒を飲んだ者は、修行の場に相応しくないので
立ち入りを禁ずるという意味があるらしい。
なまぐさ坊主という言葉は、ここから来ているのかもしれない。
お酒もニンニクを好んで食べているうちは、
仏門に入れないということなのだ。
近年スタミナ食品として持て囃されている食品に、
そんな背景があったとはなかなか面白い話である。
葱坊主という呼び名にも、ひょっとするとこの話の教訓が
記号として込められているのかもしれない。
2015.05.25
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