切れ目の入った布が風にそよぐような
シルエットが描けた。
それは日本人には見慣れた店先の目印、
暖簾に見えてきた。
暖簾は屋号を掲げる看板でもあり、
営業中であり開かれた場所であるという
意味合いを持っている。
そして、その名の通り
簾の隙間を埋めて暖をとる役割を果たす
ことから、この名称がついたという。
今でこそ綺麗な老舗店舗の店先を
上品に演出するイメージがあるが、
昔はその店の暖簾が汚れていることが、
その店の繁盛度合いを表していたようだ。
現在の寿司屋の走りが屋台形式をとっていた時代、
客はその汚れた手を、帰り際に暖簾で
拭いて帰ったというのだ。暖簾雑巾である。
いま考えると不衛生極まりないが、
当時店の店主はその汚れた暖簾を誇りに
思っていたのだろう。
この話は、時代とともに価値観というものが
必ず変化していくことを物語っている。
今は考えられないような価値観が
今後も生まれていくと思うと、
とてもワクワクしてくると同時に、
古い慣習に囚われすぎることは
本当にもったいないと思うのである、
2015.04.08
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