くねっと曲がった柔らかい線は、
海の底の泥の中に潜むぬるっとした質感の穴子になった。
穴子は、江戸前鮨の定番ネタのひとつで、
ふわふわの身に煮汁を煮詰めてつくった
「つめ」と呼ばれるタレをつけて食すのが江戸前流である。
先日近所の鮨屋に行った際に、壁の品書きに
「秤目」と書いてあり、何かと尋ねると穴子のことだという。
知らなかった。
穴子の体の側面にある側線孔と呼ばれる均等な間隔の点々が
目盛りのようだから、「はかりめ」と呼ばれるようになったとか。
房総の方では、はかりめ丼というメニューがあるほど、
馴染みのある呼び方のようだ。
秤目は、秤竿に刻んである目盛りの呼び名であるが、
これをそのまま呼び名として使ってしまうところが粋である。
穴子は、昼間は海底の泥から顔だけを出して
辺りの様子を伺っている様子から、
「穴籠もり」→「あなご」になったそうである。
測線孔の目盛りを利用すれば、穴子が何センチ泥から
出ているのか非常に分かりやすいのかもしれない。
しかも、穴子定規は局面も計ることができる
とてつもない優れものなのではないか。
これから梅雨入りの時期が、
1年のうちでいちばん美味しくなるという穴子を
食べに行けるタイミングを計らなくてはならないと思う。
2015.04.09
0 件のコメント:
コメントを投稿