うねうねと波打つ線を重ねていくと、
だんだんとその線が荒々しくなってきた。
どこか高いところから少し荒れた海を眺めているような
心持ちになってきたので、その荒波を乗りこなすヨットなのか
小さな赤い帆を波の上に乗せてみた。
ショートケーキではない。
それは抽象的ではあるものの、色彩なのか、間なのか、
どこか意識を1点に集中させる魅力をもつ図像になった。
よく、海を眺めていると小さな悩みなんか忘れられると言う。
きっと我々は自分の胸から心を取り出して、
それを1隻のヨットのように大海原にぽつんと浮かべ、
その大きな器のなかで波のうねりに身を任せることができるからだろう。
時にその波は厳しさを教えてくれたり、
時にゆりかごのように穏やかに受け止めてくれたりもする。
そうこうしているうちに小さな悩みなど忘れ、
また心を自分の胸にしまって歩き出すことができるのかもしれない。
自己投影という言葉があるが、それは様々な対象に対してすることができる。
物語の中の悲劇のヒロインであったり、
自分と境遇の近い、異国の人であったり様々である。
ただ人は、自分よりもはるかに大きい存在に自己投影をすることもできる。
対象が大きいからこそ、自分をそれに置き換えようとはせず、
むしろその内側に身を置き、身を任せることで居場所をつくっている。
海の持つこういった力というのは、
そういうことなのかもしれないと思った。
2015.03.19
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