下部にヴォリュームを持った、ほぼシンメトリーな図。
真ん中にある点は臍のようにも見え、
全体が女性の身体のシルエットのように見えてきた。
そこにピンク色の2つの点を、
イメージを補完する記号として加えてみた。
女性を表す記号性は様々であるが、
胎児を育てるための空洞を持っていることと、
幼児を育てるための2つの房を持っていることは
男性と差別化する上での大きな特徴である。
言うまでもなく、それは我々の記憶の中にある
母型の原型であり、歴史の中で
絵画に描かれる女性像が変わってきても、
その2つの特徴はいつの時代も誇張して表現されるものである。
母型という言葉は、活字の鋳造の原型の意味として
使われることが一般的であるが、
アーティストの内藤礼氏のインスタレーション作品で、
瀬戸内海の豊島にある豊島美術館(=母型という作品)という空間がある。
そこは、美術館全体が母親の胎内にいた時の記憶を
呼び覚ますような空間演出になっていて、
いままでに味わったことのない感覚を刺激されるものであった。
ここでもやはり、空洞(房)というものをうまく生かした空間演出がなされている。
この空洞というネガティヴスペースの持つ力は計り知れない。
単なる物理的な空間ではなく、
一種の感覚受容器なのではないかと思う。
引きこもりという表現は、今でこそネガティブな使われ方の言葉だが、
我々は元々引きこもる事がどちらかというと好きなはずである。
それは男女問わずに、遥か昔から受け継がれる、
母型房の中で誕生を待つ時間の記憶なのかもしれない。
2015.02.26
0 件のコメント:
コメントを投稿