二股に分かれたゴツゴツした線は、
先が尖っていて何か分厚いものでも2つに切り裂けそうだ。
赤と緑の補色の色面分割を背景に置くと、
何やらこれは蟹のハサミのように見えてきた。
我々の指は5本あるが、何かを切り裂くことはできない。
蟹の指は2本しかないが、その代わりに何かを切り裂ける。
このCRAB FINGERSは、蟹が不器用の代償として手にした
破壊力のある道具とも思えてくる。
しかし、冷静に考えてみると
このハサミで紙を切ることはできなさそうだ。
どちらかというと、何かを「挟む」「潰す」という方が
表現として正しいのかもしれない。
ということは、我々が蟹の「ハサミ」と勝手に呼んでいるだけで、
蟹にとっては「関節のない硬い2本の指」でしかないのかもしれない。
ちょっとかわいそうにも思えてくるのだが、
それによって蟹は、我々で言うところの「ピース!」のサインに、
「俺は怒っているぞ!」という、
威嚇するシニフィエを与えることに成功しているのだ。
どうしてそうなったかは分からないが、
進化の過程において、指が2本しかないというのは非常にリスクがある。
そのリスクをカバーするために、その2本の指に
器用さと引き換えに何かが与えられた可能性はある。
天は二物を与えない。などとよく言うが、
まさに蟹のハサミの例はそれに当てはまるような気がする。
2015.01.23
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