鳥のシルエットを思わせるフォルムが描けたが、
どうも何かが足りなかった。
この鳥には、頭の一部である顎が発達してできた嘴が欠落していたのだ。
このかわいそうな鳥に嘴をつけたいと思い、
大きさを思案していたが、どうやら大きくて立派な嘴が似合いそうだ。
そういえば南国の色鮮やかな鳥に、オオハシという種類の鳥がいた。
その嘴は頭部よりもずっと大きく、非常に扱いづらそうな印象すらある。
ただその色彩といったら、どうしてそんなに色鮮やかになったのか
聞いてみたいくらいの黄色と赤をしている。
鳥の嘴が黄色という概念はここから来たのかと思うほどの強い印象である。
また、面白いことに我々日本人が日常的に使う「箸」という道具の語源のひとつに、
鳥の嘴があるという。
古くは、一本の棒を折り曲げてピンセットのように挟んで使うもので、
そのフォルムが鳥の嘴に似ていたことから来ているそうだ。
そこから、このオオハシを大箸と名付けることのアブダクションが出来上がった。
鳥は、嘴を毛繕いや、捕食対象の殺害、求愛行為、雛へ餌を与えるためなど、
様々な用途で使用する。
進化の過程で発達したこの二股のスティックを、
我々の箸の用途を上回る頻度で使用していることがよく分かる。
箸の使い方が下手な人が増えているなどと言われることがあるが、
もしかしたら、鳥の動きをよく観察することからも
その使い方を学ぶことができるのかもしれない。
2015.01.20
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