半円と線をラフに描くと、
夏に合う軽やかな印象の麦藁帽子に見えてきたので、
紅いリボンを重ねてみた。
日本の麦藁帽子は、
一般的に夏に日よけとして用いられることが多い。
涼しげは見た目で、手に持つと軽いイメージが、
どこか夏の風物詩的な存在にもなっている。
元は、1872年に町役人の河田谷五郎という人物が
外国の帽子を手本にして作ったものが始まりとされているようだが、
その原型は日本の歴史の中に別にある可能性がある。
素材は微妙に違うが、この素朴な印象の帽子の原型として
考えられるのは俗に三度笠と呼ばれるものかもしれない。
三度笠は竹の皮や管を使って編まれた笠のうち、
頂が尖っている形状のもので、
最初は女性の顔を深々と隠すほどの深さがあり、
顎紐をとめて女性が使用していた時代を経てから
江戸、京都、大阪の3箇所を毎月3度ずつ往復する飛脚が
使うようになったという。
三度笠と麦藁帽子の共通点を探すと、
素材感とファッション的アクセントを持っているところ
ではないかと思えてくる。
麦や竹のような黄土色の地味で素朴な素材は、
ともすると機能面でしか魅力がないとされて、
農作業などの泥臭い場面で使われるだけで終わりそうなところを、
うまく工夫してファッションに昇華させてきたとも
考えられるのではないか。
麦藁帽子にはなぜかカラフルなリボンや飾りがついていることが多い。
その方がかわいいからといえばそれまでだが、
このアクセントは想像以上に無意識下でファッションとしての記号性を
我々に訴えかけているのかもしれない。
2015.07.27
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