勢いよく広がる線を描くと、
箒の先のようなシルエットになったので、
棒を付け足してみた。
箒は掃除の道具というイメージが強いが、
祭祀などでも用いられてきた神聖な道具でもあり、
日本の庶民の間でも箒神(ほうきがみ・ははきがみ)という
神が宿るとされたものだという。
箒神は産神のひとつとされていて、掃除の行為の「掃き出す」が
出産と結びついたという説や、「ははき」という古い読みが、
母木になっているからという説もある。
そのため、妊婦の枕元に立てて安産を祈ったり、
産気づいた時に燈明を点けて妊婦に拝ませ、
その箒で妊婦のお腹をなでるようなことも行われていたという。
そのため、その神聖な箒を踏みつけたりすると
罰が当たると考える風習が各地に広まってるようだ。
また、ヨーロッパ等では、
魔女や魔法使いがそれに乗って移動する手段であると信じられ
映画などでそういったモチーフとして登場してくることが多い。
ロシアでは、箒で掃く室内の塵にもある種の呪力が
宿っていると考えられ、塵の扱い方ひとつが
その人の人生に与える影響が変わるとまで考えられているようだ。
私は育ち柄、小さい頃から庭箒で庭の掃除をすることが
多かったのだが、坂の上から下までただただ無心に
落ち葉や塵を掃き下ろしていく時間を最初は面倒くさいと思っていたのだが、
途中から無心に掃く行為にある種の意味を感じていた気もする。
それは、箒が私に与えた心理的変容だったのかもしれない。
2015.07.02
0 件のコメント:
コメントを投稿