先端が4つ又に分かれた線は、
食べ物を刺して口に運ぶフォークのようだったので、
先端にソーセージをくっつけた。
一般的に食卓で用いられるフォークは4つ又のものが多いが、
中には2つ又、3つ又のものもある。
日本語では肉叉という訳語が当てられることがあるようで、
ヨーロッパでのもともとの使用用途も、
二つ又のフォークを刺して、肉を切りやすくするためのものだったらしい。
もともとは料理を取り分けるための道具だったものが、
ナポリ国王のフェルナンド4世が、宮廷で毎日パスタを
食べるように命じた際に、パスタをそのまま口に運ぶ際には
4つ又のフォークの方が使いやすいということで4つ又の
フォークが誕生したという。
その語源はラテン語で熊手を意味するFURCAだったようで、
その名前とシニフィエがとても一致しているもののようだ。
ところで、我々の手は指が5本ある。
5本の自由に動く指を駆使して様々な器用な使い方ができるように、
4つ又のフォークと5本の手の指の間には
近いようで大きな隔たりがあるのではないか。
おそらく、フォークを5つ又にした瞬間に、
手のメタファーであることを否定できなくなっていく可能性があり、
それは、熊の手と人間の手のあいだにある違いが表面化してくることによって
フォークという名前自体の意味を否定することになるからかもしれない。
フォークの指の数のように、誰が決めたのか分からない秩序というものが
我々のまわりにはたくさんある。
それを少し疑って見てみると、物質的な記号性を超えた
意味の記号性という、より深い面白さが現れてくるのではないか。
2015.06.25
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