切り株のような形を描くと、
甘い味噌ダレを乗せて食べる風呂吹き大根のようになった。
大根は日本の食卓には欠かせない野菜である。
特に柔らかく煮た大根は、出汁が染み込みとても美味しい。
ぶり大根やおでんなど、大根なしには語れず、
主役級になる料理もあるほどだ。
そんな大根料理の中でもとてもシンプルなものとして、風呂吹き大根がある。
風呂吹き大根の名前の「風呂」は、
我々が湯船に浸かる風呂のことではない。
ここで言う「風呂」は漆器を乾燥させるための室(むろ)のことだという。
名前の由来として、漆器職人が冬に漆器を乾かす方法に
困っていた時に、ある僧から、室に大根の茹で汁を炊き込んで
そこで乾かすとよいと教えられ、やってみるとうまくいき、
余った大根を近所に配ったところ、これが美味しいと評判になったことから
風呂吹き大根という名前が生まれたという説がある。
正確には、室を蒸す際に湯を沸かすだけではもったいないので
ついでに大根を茹でたという方が正しいのだろう。
この料理は、かぶや冬瓜などで代用しても美味しく食べることができる。
英語圏の人にこれを説明しようとしたら、
単純にBOILED RADISHなのだろうが、その背景にあるバックストーリーを
正しく伝えていくのは非常に難しいのではないかと思う。
日本料理というのは見た目はシンプルで意味深な名前が
ついていることが多い。
日本人の、5感で楽しませるという遊び心がそうさせてきた文化を、
面白く伝える方法を考えるのはとても面白い。
2015.06.23
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