中心から放射状に広がる多数の細い線の塊は、
彼岸の時期に異常なまでの色鮮やかさで群生して
花を咲かせる曼珠沙華(別名、彼岸花、死人花)のようだった。
曼珠沙華は、ユリ科の植物であり、
複数つく蕾の姿は確かに
ユリ科を連想させるものである。
曼珠沙華は、鱗茎という部位や球根に強い毒性を持っている。
そのため、死に繋がる花として不吉な花と言われることもある。
よく、田んぼや墓地に群生していることが多いが、
これはモグラなどの動物が土を掘り返さないために、
過去に人為的に植えられたものだという説があるようだ。
確かに毒性の強い花を植えて結界を張るという考え方は
非常に有効であると思う。
また別の説には、飢餓の時代に餓えをしのぐための
最後の食材としてこの花を植えたという説だ。
水に晒すことで毒は抜くことができるため、
食用にできないこともなく、毒があるという説のお陰で
最後の最後まで食べ物の選択肢に上がって来づらいことから、
最後の飢餓食と言われたのかもしれない。
曼珠沙華という呼び名は、
サンスクリット語では、天界に咲く花という意味があるそうだ。
仏教の経典では、おめでたいことが起こる兆しに朱い花が天から降ってくるという。
そのひゅーっと伸びた一本の茎の先端に鮮やかな朱い花が突如として開花する姿は、
何かいいことが起こるかどうかはさて置き、毎年彼岸の時期に
我々の脳裏に強烈な記号的インパクトを与えていることは間違いない。
2015.05.13
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