縦長の丸の中に、目のような細い線。
口の位置に朱を入れると、
能面のような、おかめのような、
日本的なお面の印象になった。
能楽の世界では、お面は面(おもて)と呼ばれるそうだ。
能面には様々な種類があるが、
一般的にイメージされることが多いのが
若い女性をモチーフにしている
小面(こおもて)と呼ばれるものだろう。
その他にも、翁や鬼神、怨霊などを
モチーフにしたものもあり、その数は
正確には不明だが250種類はあるという。
私も少しずつお能の世界を勉強し始めた位で、
まだまだ知らないことだらけであるが、
能の面は見る角度や陰影によって
様々な表情に変わって見えるところが魅力である。
能楽師によってその面に命が吹き込まれるのだ。
少し下から見ると微笑んで見えたり、
上から見下ろすと怒ったように見え、
非常に複雑な感情表現ができるように設計されているのだ、
よく無表情な人に対して、
能面のような顔だねと言うのは、間違いなのだろう。
むしろ、奥深い感情表現のできる顔という
褒め言葉にするべきではないだろうか。
日本人は陰影を主役にできる。
物質的に見て真ん中にないその部分を、
敢えて表現の真ん中に置くことができるその感性を、
継承していこうとしている表現者に敬意を払いたい。
2015.04.26
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