1本の芯材とその周囲を囲むが描けた。
どこかでこんな構造のものを見たことがあると
思っていると、バームクーヘンを思い出した。
バウムクーヘンは、ドイツ人が生みの親で
いまでもドイツを代表するお菓子のひとつで、
BAUM(木)とKUCHEN(お菓子・ケーキ)という
ドイツ語からできた名前であるという。
初めて焼かれた頃のバウムクーヘンは、
樫の木を芯にして、手で回しながら生地をつけていくという
とてつもなく手間のかかるものだったようだ。
その名前の通り、樹木が年月を重ねてできる
年輪のシニフィエをそのままお菓子に置き換えたものである。
結果的にこの製法になったのか、
年輪の成り立ちから発想してこの製法に至ったのかは分からないが、
非常に記号的に興味をそそられる姿形をしていると思う。
この年輪の積層の記号性が、
年月や手間、歴史の厚みといったイメージを呼ぶことから、
日本ではお目出度い贈答品のひとつとして慶事の贈り物に
選ばれることが多い。
我々が店頭で目にするバームクーヘンは、
断面の年輪をこれでもかと見せつけるために切り落とされ、
切り株の状態になったものであるが、
長い芯棒に巻きつけられた状態を見るとまた別のイメージが持つ。
要は断面が見えないと意外と木というイメージに辿り着かないのだ。
これは、対象の切り取り方ひとつで第三者に与える記号性は
良くも悪くもなり、強くも弱くもなるということを意味しているとも言える。
切り株のお菓子に、デザインには毎回慎重な検証が必要だと
再確認させられるのであった。
2015.04.02
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