アルファベットのJの形をしたそれは、
水中に垂れ下がる釣針の形に見えてきた。
釣針はその先端に付けた餌に魚が食らいつく瞬間、
少し力を入れて引くことで、魚の口に食い込んで
魚が逃げることをできなくする。
釣針の先端にある「かえし」という部分が、
その罠のからくりである。
「かえし」は、魚を捕らえる際には非常に強力な
手段となるが、誤って人間の皮膚に引っ掛かってしまうと
ものすごくやっかいである。
無理に針を抜こうとすると、傷口を激しく引き裂き
大きな傷を作ってしまう。いわば諸刃の剣でもあるのだ。
こういう場合は、針を一度奥まで通しきってから、
針の先端のかえし部分を切断してから抜くといいようだ。
ダメージを最小限にするために、
あえて刃を深く刺すということになるが、
これはかなり高度な対処法である。
世の中には、誰かが故意に誰かを陥れたり
巻き込んだりしようとする罠がたくさん存在している。
その罠に共通しているのは、この釣針の「かえし」と同じく
一度かかってしまうと、抜けるために必ず痛みを伴うところである。
罠が罠である以上、かかることは避けられないとすると、
できる限り身を滅ぼさない方法でその罠から抜けることが
生きる上で最善の手段なのかもしれない。
それに伴う痛みは、むしろ払うべき代償なのではないか。
2015.03.13
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