1本の枝のようなものに纏わりつく塊。
それはモコモコして柔らかそうな質感をしている。
狸のような、ベージュ系の毛が生えているような気がしたので
その配色のストライプを後ろに敷いてみた。
調べてみると狸は、
哺乳網ネコ目イヌ科タヌキ属に分類される動物らしい。
分類の上位にネコが君臨していることが以外ではあったが、
確かに、これはネコのようにも見えてきた。
「ネコは炬燵で丸くなる」という歌詞で有名な童謡にあるように
毛がモコモコしている動物は丸くなるとその骨格の印象は消え
みな一様に触り心地の良さそうな毛塊に姿を変える。
人も含めた哺乳類は、またの呼び名をケモノという。
驚いたは、このケモノは「毛物」のことだという。
獣は、ケダモノと読む場合があるが
この言葉の意味を調べると、
「全身毛に覆われ、四肢で歩く哺乳動物。特に、野生のもの。けもの。」
「人間らしい心のない人を罵っていう語。人でなし。」とある。
我々は普段、洋服を纏い、香りのいい香水をつけ、獣の肉を食べる。
しかし、自分たちがケモノの仲間であるという意識はほとんど持たない。
そこには、大きな矛盾があることに
この言葉尻からの発見によって気付かせられる。
また、哺乳類の毛は皮膚の角質化によって生じた構造に
由来するものとされているようだが、
この観点からすると、ファーでモコモコの洋服をまとった人間というのは、
退化した毛皮の上に遠い仲間の毛皮を乗っけているという
非常に興味深い記号性を持っていることになる。
2015.02.20
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