ひょろ長い線の先に柔らかい滲みができた。
風に流されて飛んでいきそうな軽さを持つその図像は
その周囲に綿毛をまとわせてみたくなった。
綿毛をまとうと、微かな風にも影響を受けて
右へ左へゆらゆらとどこまでも飛んで行きそうな
綿毛風船になった。
たんぽぽの綿毛は、宇宙の始まりである
ビッグバンと同じ形をしていると、
大学時代の恩師が言っていたのをよく覚えている。
その突拍子のない発言は、僕の中の想像力という種に
水を与えてくれたようだった。
ある対象をどう捉えるかは個人の自由だが、
この視点の提示は少なからず僕の新しい思考装置を
発芽させるきっかけになった1つであることに違いはない。
人間を含めた自然界にあるものを見る眼差しが変わるのだ。
これは何か特別な話でもなんでもなく、
漫然と目の前にある対象のかたちから、
あまりにも多くのことを学べるということである。
1つのかたちの観察から、
別のかたちとの類似性、相似性に気付き、
その生成理由を辿る旅に出ることもできる。
さらには様々な事象との関連性へと発展する程度で、
仮説や見立てによって、新しいものを生み出すこともできる。
突き詰めていくと、要は意識するかしないかの世界に入っていく。
意識しないでいると、普段どれだけのことを見逃しているのか。
綿毛風船は、そんなことを思い出させてくれた。
2015.02.17
0 件のコメント:
コメントを投稿