WAGOMU-このブログについて-


WAGOMUというのは、「和」と「和む(なごむ)」から創った造語に、「輪ゴム」という括る対象によってその形状を柔軟に変化させることのできる図像の記号性を与えたものです。このブログは、2009年から「瞑想」というキーワードと向き合いながら広告会社でデザインをしている自分から生まれた造形に言語的アプローチで再解釈を与えることを目的に2015年の年頭にはじめました。
実家が、高野山真言宗という密教系の宗派のお寺であることから、美術大学の卒業製作のテーマとして「阿字観」という瞑想に出会いました。密教では阿字(大日如来を表すサンスクリット文字)と対峙しながら瞑想を行います。他の瞑想のスタイルにおいても、何か1つの対象や動作に意識を集中することで、瞑想を体得するものが多いのです。インターネット社会になり、SNSのタイムラインのようにどんどん流れていく情報が増え、多次元的に脳に取り込む情報の量が日々増えていくようになって久しい現代社会において、グラフィックが「瞑想」と同じような効果を人間の脳に与えることができるのではないか。それが私のコンセプトです。
しかし、このテーマを持ちながらデザインをする自分自身が日々の生活や仕事の中での大量の雑多な情報のインプットによって、1つの図像から受け取るインスピレーションの感度や、表現力が劣化しているのではないかという懸念が生まれました。そこで、図像に対しての感度を鈍らせないために、画材を制限したドローイングと、そこから見出した自分自身の思考の軌跡をブログという形で残すことにしました。ブログを書きついでに瞑想しようというわけです。日によっては更新できない日もあるでしょうが、基本的に1日1投稿を目標に続けていきたいと思っています。2015.01.03

2015/02/16

珈琲味 / COFFEE FLAVOR



真ん中に亀裂の入った楕円形の豆のような形。
それは、コーヒー豆のように見えた。
我々が普段飲むコーヒーは、その味であったり香りであったり
複数の感覚器官を楽しませてくれるものである。
しかし、コーヒーの木に実ったその豆を収穫、精製した状態の
いわゆる生豆の状態では味も香ばしさもほとんどなく、
我々が知っているコーヒーの味わいとは程遠いものである。
その味わいを与えているのは、焙煎(ロースト)である。
豆を炒ることで、水分が除かれ成分が化学変化することで
揮発性の香ばしい香りを放つようになる。
この過程で同時に、コーヒー独特の苦味、酸味、甘味といった
風味が生まれてくるのだという。
また、国ごとのコーヒー文化の違いによって、
この焙煎の度合いにも差があり、いわゆるイタリアンローストと
呼ばれるものは、最も強く焙煎されたものを指している。

コーヒーの他にも、こう言った焙煎に近い手法で
味わいや香りを高めるものが多数存在する。
昨今ブームにもなっているウイスキーも、
樽の焼き方や、ピートと呼ばれる泥炭を焚く量で
その味わいや香りが全然違ってきます。
その製法の違いからくる味わいの差が、
バーボンやスコッチといった種類の違いになるのだ。
人類の長い歴史の中で、我々はある種の炭化に向かう行為をうまく利用して
素材の味わいを増幅させることを習得してきたのだ。
炭化というのはある意味、有機物としての終わりであり
死を意味しているとも言える。
完全に炭化させるのではなく、炭化に向かうマイナスの方向性の中に
熟成というプラスの価値を見出したことは、
人類史上この上ない発見だったのだろう。
2015.02.16


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